農民のくらし
江戸時代の農民は、現在と異なって@農地処分の制限、A農地分割の制限、B移転の制限、C職業の制限等に代表されるような各種の制限を受けていましたが、衣食住についても細部にわたって規制され、日常の生活では、絹の着物や白米、板葺き屋根などは贅沢品と見なされ禁止されていました。
衣食住に関するおもな規制
延宝9年 1681
名主妻子以外の絹紬着用を禁止。ただし祭礼時のみ紬許可。また衣類を紫紅に染めることを禁止。雑穀の食事を徹底。 天和元年 1681
農村における酒造ならびに煙草栽培の禁止確認。 貞享4年 1687
米食の制限(正月と五節句のみ許可)と日常の魚・鳥類食の制限。日常は、米2/3に雑穀1/3のまぜめしにすることを徹底。 元禄16年 1703
地布(麻)以外の木綿・染めた衣類などの着用禁止。ただし五節句ならびに他村へ行くときのみは木綿着用許可。ミノ・ケラ着用を徹底し、裁付・木綿合羽の着用を禁止。また髪油等、町人風俗の模倣を規制。かて飯以外の食用制限。 宝永元年 1704
米食の制限。 享保9年 1724
庄屋以下すべての農民の裁付・合羽着用禁止。老人と富者以外の足袋禁止。日常の食事について貧富に関係なく一汁一菜徹底。作物や下魚以外の食用禁止。 安永2年 1773
病人・老人・祝言・仏事等以外の粟飯・白飯制限。 寛政2年 1790
庄屋以下すべての農民の蓑・小巾・麻帯着用徹底。木綿帯の着用禁止。一汁二菜徹底。
中村中田の場合の農民の収入(六ツ成の場合)
推定反当
(石)
平均面積
(反)
実収米
(石)
年貢米
(石)
作徳米
(石)
1人あたりの消費可能量(注)
(文化6年平均5.4人家族)
上作 2.400
10
24.000
6.416
17.584
9合/日
中作 1.600
10
16.000
6.416
9.584
5合/日
下作 1.000
10
10.000
6.416
3.584
2合/日
(注)ただし、作徳米の大部分は自給不可能な物品(農具・日用雑器・衣類・塩等)購入に充当させなければならないため、実際に当該量が消費できるわけではない。*平均面積・平均家族数は「文化六年金氏覚書」(中里町誌所載)を基に推定、推定反当は、盛田 稔 1972 近世青森県 農民の生活史 青森県立図書館による
農具の価格
鍬 備中鍬
千歯扱き
足桶
馬鍬
鎌
篩
臼
杵
銀7〜7.5匁 銀15〜16匁
銀8.5〜10匁
銀6匁
銀8〜9匁
銀1.3〜1.6匁
銀1〜1.5匁
銀35〜40匁
銀5〜6匁
秋山高志ほか 1991 図録・農民生活史辞典
弘前の米価(1升)
平作時平均 豊作時平均
不作時平均
銀0.7匁 銀0.5匁
銀1.0匁
小舘衷三 1973 津軽藩政時代に於ける生活と宗教より
享保6年武蔵国(東京都)百姓の全財産
居家 1
古ほうとう 1
小銭箱 1
古ざる 3
古戸 3
から笠 1
酒うり小桝 3
み 1
鍋 4
よりほう 1
とっくり 1
むしろ 4
くさり鎌 1
あき桶 1
すりばち 1
麦ふすまかうじ 1
木臼 1
手洗 1
古めし次 1
ひつ 1
石臼 1
古あんどん 1
古わんおしき 4
小舘衷三 1973 津軽藩政時代に於ける生活と宗教 より