江戸時代の税制


江戸時代は農業が基幹産業であり、なかでも米は藩の財政を左右する重要な税収源であったため、各藩では精密な検地を実施し、その台帳を基に年貢の取り立てをおこないました。

弘前藩では、あらかじめ各村々より絵図を提出させたうえで、貞享元年(1684)より領内の総検地に着手しました。貞享検地帳では、村位が上中下の3段階、田は上々から下々まで5等級に定められました。年貢は、村位と田の等級の組み合わせによって定められ、畑や屋敷地であっても、米に換算して年貢を納める制度が確立しました。

年貢率は、金木組では約6割金木新田では約4割〜5割と、生産力の劣る村については率が下げられましたが、このほかに小役米とよばれる付加税が加わりました。年貢米は、18世紀前後には高根御蔵富野御蔵へ、その後は八幡御蔵へ納められるようになりました。御蔵の米は、岩木川・十三湊を経て鯵ヶ沢湊へ運ばれ、そこから大きな船に積み替えられて上方市場へ回送されました。

 

江戸時代の年貢率(貞享4年以降・六ツ成(6割)の場合)

 

上 村

中 村

下 村

一反歩分米

(収穫高:石)

一反歩成米

(本年貢:石)

税率60%

小役米(下記)

(付加米:石)

税率4.16%

小計(石)

税率64.16%

一反歩分米

(収穫高:石)

一反歩成米

(本年貢:石)

税率60%

小役米(下記)

(付加米:石)

税率4.16%

小計(石)

税率64.16%

一反歩分米

(収穫高:石)

一反歩成米

(本年貢:石)

税率60%

小役米(下記)

(付加米:石)

税率4.16%

小計(石)

税率64.16%

上々田

1.400

0.840

0.058

0.898

1.30

0.780

0.054

0.834

       
上 田

1.300

0.780

0.054

0.834

1.20

0.720

0.050

0.770

1.10

0.660

0.046

0.706

中 田

1.100

0.660

0.046

0.706

1.00

0.600

0.042

0.642

0.90

0.540

0.037

0.577

下 田

0.900

0.540

0.037

0.577

0.80

0.480

0.033

0.513

0.70

0.420

0.029

0.449

下々田

0.700

0.420

0.029

0.449

0.60

0.360

0.025

0.385

0.50

0.300

0.021

0.321

成田末五郎ほか 1965 中里町誌を基に作成

 

小役米(付加米)の種類

税 種

税率(%)

説明

野手米

分米*0.4

飼料や堆肥として山野から草を刈るのに対して課すもの(御蔵百姓のみ)

山手米

分米*0.5

山林から柴薪を伐採するのに対して課すもの(御蔵百姓のみ)

夫 米

分米*0.5

下働きのかわりに納めるもの

津出米

成米*1.6

鰺ヶ沢などの積出港へ年貢米を駄送する賃銀として課すもの

口 米

成米*3.0

回船輸送中の自然減分の補充料として課すもの

成田末五郎ほか 1965 中里町誌を基に作成