明治40年～昭和48年（1907～1973）。中里出身の陸上選手。青森県初のオリンピック出場選手となった。中里尋常小学校高等科卒業後、県立弘前中学校に進み、陸上競技を始めた。早稲田大学に進学後、山本忠興の指導により、素質を一気に開花させた。井沼清七
織田幹雄・南部忠平・西田修平など後のメダリスト達と組んで400ｍリレーに出場し、多くの記録を樹立するとともに、昭和3年(1928）には、オランダのアムステルダムで開催された、第9回オリンピック大会に出場し、名スプリンターとしての地位を確立した。
スタートダッシュを得意とし、最初の50ｍまでは当時「暁の超特急」と呼ばれた吉岡隆徳さえも及ばなかったと伝えられる。現役引退後は後輩の指尊にあたり、日本陸連常務理事、評議員、東京陸協副会長を歴任するとともに、松坂屋百貨店常務取締役、株式会社松栄食品社長等を務め、実業界においても成功を収めた。
アムステルダムオリンピック陸上競技選手団
（後列左から2人目南部忠平、3人目織田幹雄、5人目が井沼。前列右から2人目は人見絹枝。）
主な競技歴
1 国際競技
昭和 3 年 7 月10 日 日英対抗早大対アキレス倶楽部 ロンドン（スタンフォード・ブリッジ競技場）
440ヤードリレー（440ｘ91.44=4ｘ100mR） 第1位 44"8
早大（井沼清七・南部忠平・山口直三・大沢重憲）
昭和 3 年 8 月 4 日 第9回アムステルダムオリンピック オランダ（アムステルダム）
4ｘ100mR 予選4着（入選2着）
日本（井沼清七・大沢重憲・南部忠平・相沢厳夫）
昭和 3 年 8 月14～16 日 第2回国際学生大会 パリ（ボード・ド・レー競技場）
4x100mR 第2位 43"2 日本記録
早大・日本（井沼清七・南部忠平・山口直三・大沢重憲）
昭和 3 年 10 月 6 日 日本学生対抗フランス 東京(明治神宮外苑競技場)
1,000mリレー（スウェーデンリレー） 第2位 記録なし 差約13m
日本学生（井沼清七・南部忠平・西厳・中島亥太郎）
昭和 5 年 5 月24～29 日 第9回極東選手権競技大会出場 (神宮競技場)
100m、4ｘ100mR用員として参加
昭和15年 6 月5～9 日 東亜競技大会東京大会出場（神宮）
昭和15年 6 月14～16 日 東亜競技大会関西大会出場（甲子園）日本選手団マネージャー
2 国内競技
昭和 2 年 6 月 12 日 第3回関東選手権（神宮） 4ｘ100mR 第1位43"6 日本記録
早大(井沼清七・南部忠平・織田幹雄・大沢重憲)
昭和 2 年 8 月 7 日 第14回日本選手権（神宮） 4x100mR 第1位43"6 日本タイ記録
早大(井沼清七・南部忠平・織田幹雄・大沢重憲）
昭和 3年 5 月 26～27 日 第1回学生対抗選手権（神宮） 100m第5位、4x100mR第1位 43'2 日本記録
早大（井沼清七・南部忠平・山口直三・大沢重憲）
昭和 4年 5 月 25～26 日 第2回学生対抗選手権（甲子園） 100m第2位、200m第4位、4x100mR 第1位 44"0
早大（井沼清七・中島亥太郎・織田幹雄・大沢重憲）
昭和 4年11月 3 日 第16回日本選手権（神宮） 100m第3位、4ｘ100mR 第1位42"8 日本記録
稲門クラプ（井沼清七・西田修平・織田幹雄・大沢重憲）
昭和 5年 5 月 10～11日 第3回日本学生対抗選手権（神宮）100m第5位、4x100mR 第1位 43"0
早大（井沼清七・西田修平・織田幹雄・中島亥太郎）
昭和 6年 5 月 30～31日 第4回日本学生対抗選手権（甲子園）200m第6位、4x100mR 第2位
早大（井沼清七・高野忠幸・西田修平・中島亥太郎）
昭和 6年10月 27 日 第1回一般対抗学生選手権（神宮） 4ｘ100mR 第1位 41"6 日本記録
学生（井沼清七・佐々木吉蔵・阿武厳夫・吉岡隆徳）昭和9年まで日本記録
3 役員
昭和 5 年度 日本学生陸上競技連合 技術員
昭和 6 年度 日本学生陸上就技連合 幹事
昭和 23 年度 日本陸上競技連盟 常務理事
昭和 24 年度 日本陸上競技連盟 常務理事
昭和 30 年度～昭和48年逝去まで 日本陸上競技連盟 参与
昭和30 年度～昭和35年度 東京陸上競技協会 第5代副会長
4 栄卓
昭和48年 10 月27日 従五位勲四等瑞宝章
昭和33年 10 月21日 日本陸上競技連盟 秩父宮章受章（№105)
昭和33年 5 月27日 日本学生陸上競技連合 勲功章受章
5 記録章
昭和48年 7 月22日 青森陸上競技協会青森県記録章
100m 10"9 （昭和6年8月17日旧弘前高） 第7回ス・ノ・ゴ三巴戦
200m（直線）22"3 （昭和4年8月10日青森合浦） 第4回ス・ノ・ゴ三巴戦
「青森陸上競技協会副会長鳥山昭雄氏による」
