世界の自動車メーカー ◆フランス◆
ブガッティ[Bugatti]
イタリア生まれのエトーレ・ブガッティが、フランスに興した伝説の自動車メーカー。1900年初頭のツインエンジン車に始まる革新的なメカニズムは、高性能のエンジンと空力に優れたボディを有するタイプ35で結実、量産レーシングスポーツとして大成功を収め、世界中を驚嘆させました。市販車製造においても1926年発表のロワイヤルに見られるように、理想主義的なメカニズムや、時代に大きく先んじたデザインによって、ひたすら高性能・高価格車を製造、「走る宝石」と呼ばれました。
レースシーンでは、1930年代のGPシーンでのレギュレーション変更に伴い、徹底したバランス主義を志向しましたが、ドイツ車の絶対的ハイパワーカーの前に敗れ去ったことで興味を失い、その後は機関車製造に興味を移しました。第2次世界大戦後は、フランス政府の採った戦後の復興政策により、自動車メーカーとしてのブガッティは、あっけなくその活動を終え、現在はMESSIER-BUGATTIとして飛行機関連の開発、生産に従事しています。
90年代初頭フェラーリ・ディーラーのオーナーである一人のイタリア人がブガッティの商標を復活。1991年スーパーGTブガッティEB110を発表しましたが、ほどなくして倒産。1998年フォルクスワーゲンがブガッティの商標権を買い取り、高級スポーツカー再生を模索しています。
シトロエン[CITROEN]
1919年エンジニアのアンドレ・シトロエンが乗用車を製造したことにはじまり、1924年株式会社となりました。ダブル・ケミカルギアの発明など独創的な技術と特色あるスタイルを有し、しかも実用性の高い乗用車生産で業績を伸ばし、一時はフランス最大のメーカーとなりました。ただし総じて経営は順調ではなく1934年からミシュランの援助を仰ぐようになります。
1948年には名車2CV、1954年にはハイドロニューマチックサスペンションを送り出し、翌55年にはパナール社と提携(65年に吸収)しました。以後マセラティを傘下に収め、フィアットと資本提携を結んだりしましたが、70年代の石油危機や、フィアットとの提携解消をきっかけに経営が悪化、1974年にプジョーの傘下となりました。トレードマークの「ダブルシェブロン」は、山形歯車の歯の形をモチーフにしたものです。
プジョー[PEUGEOT]
1810年ジャン・ピエール・プジョーとジャン・フレデリック・プジョーが、フランス東部スー・クラテの鋳造工場で刃物製品の生産を始め、1885年アルマン・プジョーが自転車の生産を開始しました。1890年には世界初の量産ガソリンエンジン自動車クワドリシクルの製造を開始。同じフランスのパナールと並び、世界最古の自動車メーカーの一つとなりました。
最古の自動車レースとされる1894年の「パリ〜ルーアン」コンクールで優勝。第一次世界大戦前はレース分野でも活躍しましたが、1904年ポピュラーカーの先駆者となるベベを発表するなど実用車路線を志向しました。
1955年には403を発表し、ピニンファリーナとのパートナーシップが始まりました。1976年シトロエンを政府の仲介により傘下とし、78年にはクライスラーフランス/UKを吸収しました。1985年よりWRCに参戦し、ラリーフィールドを席巻しました。
車名に使用される2桁目が"0"の3桁の数字の並びは、その全ての組合せが同社の登録商標であり、これが原因で「ポルシェ901」が、その登場時に「911」と改称されたのは有名な話です。エンブレムは、百獣の王ライオンをモチーフとしています。
パナール[PANARD]
フランスのレネ・パナールとエミール・ルバソールが1889年に設立した世界初の自動車製造会社。パナールは最初、ベンツやダイムラーのエンジン製造権をもって仕事をしていましたが、1890年自ら自動車製造をはじめました。
自分の名前を車名にし、マークには自分のイニシアルと協同経営者ルヴァソールのイニシアルを組み合わせて用いました。1965年シトロエン社に吸収されました。
ルノー[RENAULT]
フランス政府が全額出資するフランス最大の自動車メーカー。1898年にルイ・ルノーがルノー兄弟商会をパリ郊外に設立して自動車生産を開始。1922年から社名をルノー社と変え、大量生産工場を建設するとともに素材、部品メーカーの買収も進めて規模を拡大しました。
しかし、第2次大戦で工場の80%が破壊されたうえ、ナチス協力の非難も受け、1945年に国有化され、近年は日産を傘下におさめました。エンブレムはダイアモンドをモチーフに作られました。