世界の自動車メーカー ◆ドイツ◆


アンフィカー[AMPHICAR]

AMPHIとは「両用」という意味で、この車は水陸両用車でこの名前がつけられました。

 

ベー・エム・ヴェー[B・M・W]

BMWBAYERISCHE MOTOREN WERKE(バイエルン自動車工場)という会社名の頭文字をとったものです。BMW社はもともとは航空エンジンメーカーとして発足しました。円を4象限に分け、青と白に塗り分けたそのエンブレムは、飛行機のプロペラを象徴するものです。

BMW社の創立はミュンヘンにBFW社が設立された1916年ですが、その前身は1913年ミュンヘン郊外に設立された「ラップ・モトーレン・ヴェルケ」という航空機・船舶用エンジンメーカーに遡ります。第1次世界大戦の敗北により航空機エンジン開発の道は断たれましたが、間もなくモーターサイクルの製造に着手し、さらに1929年オースティン・セヴンのライセンス生産で4輪に進出、1937年開発の327/328によって高性能メーカーとしての名声を決定的にしました。

 戦後は、50年代にイタリアのイソ社のライセンスによるミニカーと、戦前からの高級車路線の二極化を進めましたが徐々に経営が悪化。1959年の700シリーズと1961年世界中のミドルクラスサルーンに影響を与えた1500のヒットにより危機を脱しました。1966年グラース社を吸収、1994年ローバーグループを傘下に収めました。またロールス・ロイスの航空機部門を買収すると共に、2003年以降は自動車で「ロールス・ロイス」の称号を使用する権利も得ています。

 

デー・カー・ヴェー[D・K・W]

1916年ごろDAS KLEIN WNDER(小さな驚異)の頭文字をとったDKWというオートバイを作っていましたが、やがて自動車の名前となりました。後にアウディ社などとともにアウト・ウニオン社の結成に加わりました。

 

グラース[GLAS]

ドイツのミニカーの名前で、創始者ハンス・グラースの名前をつけたものです。

 

メルセデス・ベンツ[MERCEDES-BENZ]

世界で最も古い自動車メーカー、ダイムラー社の高級車名で、1900年オーストリア人エリネックが、自分で設計したダイムラー車に彼の娘メルセデスの名前をつけたことにはじまります。このころより、モータースポーツに参加し、1908年フランスGPに優勝するなど好成績を残しました。1926年のベンツ社との合併後も、技術陣にポルシェが加わるなどしてレーシングマシンの水準は高く、ヨーロッパのGPレースでは圧倒的な強さを見せました。  

 戦後も、ル・マンやF1レースなどあらゆるレースシーンで比類ない成績を収めています。1959年アウトウニオン社の大株主になり、DKW、さらにはアウディの近代化に力をつくしました(その後アウディはVWグループに入る)。近年は、クライスラーと合併し、ダイムラー・クライスラーとなっています。

 

アウディ[AUDI]

1899年アウグスト・ホルヒによって設立されたホルヒ社は、1901年第1号車を完成させます。わずか1年後には、当時の耐久レースで優勝杯を手にするなど、性能の高さには定評がありましたが、経営陣の方針と対立したホルヒは自ら社を去り、新会社を設立。社名を彼の名前であるHORCH(ドイツ語で“聞く”)から発想したAUDI(ラテン語で“聞く”)としました。

その後アウディは、ホルヒ・ヴァンダラー・DKW各社とアウト・ウニオン社という共同企業体を結成し、このとき4つの自動車メーカーを表すシンボルマークが生まれました。小型大衆車をDKW、その上級にヴァンダラー、大型車をアウディ、プレステージカーをホルヒの各ブランドが担いました。

戦後ダイムラー・ベンツ社へ吸収された後、フォルクスワーゲン社の傘下へと入り、同社の上級車部門となりました。1969年にはNSU社と合併「アウディ-NSU-アウトウニオンAG」としました。

80年代前半は、フルタイム4WD「クワトロ」シリーズでラリーシリーズを席巻し、近代的な4WDシステムの基礎を築きあげました。1985年に社名をアウディとしました。

 

メッサー・シュミット[MESSER-SCHMIDT]

第二次大戦中のドイツ車用機で有名なメッサー・シュミットのメーカーから生まれたFMRという会社が作った車です。メッサー・シュミットは「ナイフの鍛治屋」という意味です。

 

エヌ・エス・ウー[N・S・U]

もともとは織機を作っていましたが、後にレース用のオートバイとヴァンケル式ロータリーエンジンで有名なメーカーとなりました。Nは会社の所在地ネッカースウルム、Sは繊維の名前、Uは団体の名前に由来していますが、1969年アウディ社に吸収されました。

 

オペル[OPEL]

もともと錠前師であったアダム・オペルがパリでミシン製造を学び、1862年独立したのが前身です。やがて自転車製造をはじめ、1898年システム・ルッツマンを完成させ四輪車事業に参入しました。1902年最初の「オペル」ブランドをリリースし、第一次世界大戦前にはドイツ最大のメーカに成長しました。その後アメリカ資本の参入に協調し、1929GMと提携、1931年には完全譲渡しました。

 第二次世界大戦期には、ナチス・ドイツの圧力により一時的にGMの経営権は放棄させられましたが、戦後復活。1960年代以降は長くドイツ国内シェア2位の座を堅持し、1970年代からはGMの世界戦略における欧州の重要な拠点となっています。

 

ポルシェ[PORSCHE]

自動車設計・技術者のF・ポルシェ博士が作った車。ポルシェは、最初ウィーンのローネル社で電気自動車の設計・製作に成功。ついでオーストロ・ダイムラー社に入社し、OHCエンジン車を設計し、レース界で注目を集めます。メルセデス・シュタイア社に移った後独立し、フォルクスワーゲンやアウトウニオンのGPカーなどを設計、1939年には自分の名前を冠した自動車を発表しましたが、第2次世界大戦のためレースには出走できませんでした。戦後戦犯としてフランスに捕らえられましたが、その間ルノー4CV・チシタリアなどの設計も手掛けました。

 戦後、フォルクスワーゲンをベースに自らの名を冠したポルシェ356を発表。以後65年まで改良を重ね、高性能車メーカとしての名声を不動のものとしました。1963年には現在もラインナップに残る911を発表する一方、VWとの共同開発による914や、NSUに開発を委託しAUDIエンジンを搭載した924V8エンジン搭載の928などポストRRの路線を模索しましたが、いずれも成功せず、現在も911を主力として、独自の道を歩んでいます。

 

タウヌス[TAUNUS]

フォード社がドイツで製作した車で、ライン河畔にそびえるタウヌス連山の名前をとって車名としました。

 

フォルクスワーゲン[VOLKSWAGEN]

ヒトラーから「国民(VOLKS)のための車(WAGEN)」の製作を命じられたF・ポルシェ博士が、1936年に試作車を完成させ、1939年からウォルフスブルクで量産を始めたのがはじまりです。戦後急速に成長を遂げ、1965年にはダイムラー・ベンツ車の子会社アウト・ウニオン、1969年にはNSUの両社を買収して合併させてアウディ社を設立するなど、世界的自動車メーカーへと成長しました。

近年もロールスロイス/ベントレー、ブガッティを傘下とし、フルラインを擁するヨーロッパ最大の自動車メーカーグループとなっています。