はじめに

  わたしたちのふるさと……中里城跡発掘をてがけて丸三年、大きな成果をおさめながら、学術的調査報告書も三冊におよびます。 このたび、中里城跡の全容をほぼつかみえたる段階で、町民、関係者のみなさんにご理解いただく観点から、調査のあゆみ、中里城跡の歴史的考察、遺構・遺物から見た中里城跡などを、平易な記述をもってまとめてご報告申しあげることになりました。

  四季おりおりの土の中から、山のかなたから、川のほとりからやってく るムラの色、匂い、音……それが泥のついた素朴なものでも、わたしたち の文化であり、歴史である……と以前書いたことがあります。この中里城 跡概報もその一翼をになう貴重な報告書です。

  これが発刊の運びとなりましたのも弘前大学村越潔教授、八戸工業大学高島政侑助教授はじめ、佐藤仁、市川金丸、新谷武、工藤清泰、山口義伸諸先生方の特段のご指導、ご教示に負うところが大きく、心から感謝とお  礼を申し上げます。

  どうかこの小報告書をふるさとの歴史の一道しるべとして活用されますことをお願い申し上げます。

     平成4年3月

               中里町教育委員会教育長  古 川   博