あいさつ

 江戸時代より「お城っこ」と呼ばれ、地域住民のロマンを掻き立ててきた中里城址に科学的調査の手が入れられてから早いもので既に6年を経過致しました。

 この間、調査に当たられた弘前大学の村越潔教授をはじめとする諸先生方の多方面からの適切なご指導ご尽力によりほぼその全容が明らかにされております。

 内容につきましては、町教育委員会がその都度調査報告書を発行しておりますので詳細は省かせていただきますが学術的にも貴重な資料が数多く出土し郷土の歴史解明に大きく寄与するものと確信致しております。

 この発掘調査を基に、城跡整備を具体的に進めてまいるわけでありますが、その基本構想を策定するため、委員会を設置しご検討を願っておりましたところ、このような立派な計画書が完成致しました。

 今後は、本構想に基づいて史跡公園を主とした町民憩いの場を整備すべくまい進致す所存でありますのでご理解をいただきますようお願い致します。

 最後になりましたが、本構想策定に当たり多大なご尽力をいただきました中里城跡整備構想策定委員会の委員の皆様及び関係各位に衷心より感謝申し上げます。

    平成5年3月

                  中里町長 塚 本 恭 一


発刊にあたって

 歴史が過去と現代の対話だとするなら、先人の造った文化を未来へ引き継いでいく責務が、我々現代の各人に課された事業であろうし、将来への展望の中継点であろうと考えられます。

 また人の営みと共に生まれ、当時から現代までの状況を記憶しているのが、文化財であろうと思われます。当教育委員会もその趣旨で、6年程前より、弘前大学村越潔教授をはじめ関係諸先生のご指導のもと、中里城跡を始めとする遺跡発掘調査を実施し、報告書も7集に及んでいる次第であります。

 また当町では、単にそれら文化財の保護・保存を図るのみではなく、公開・活用を推進しています。古を以って鏡となさば――との考えより、その歴史的背景を考慮に加えるとともに、町の発展構想として「豊かでうるおいのある文化の町」づくりをキャッチフレーズに、各種の事業を展開して参りました。その一つとして、当町では昭和60年代より中里城跡を町民の憩いの場とする公園化計画を策定しました。

 これら一連の構想に基づき、中里城跡整備構想策定委員会に依頼し、作成されたものが「中里城跡環境整備基本構想」です。以後同書に依拠し、中里町の象徴的存在として、中里城跡を整備したいものと考えています。

 最後になりましたが、城跡整備構想策定委員会ならびに関係各位様に心から感謝申し上げます。

    平成5年3月

                      中里町教育委員会教育長 古 川  博