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2000/07/19
今日は20日(水)に開催される「野焼き&縄文食体験」に備えて、土器による煮沸実験をおこないました。といっても大げさなものではなく、単に土器でお湯を沸騰させてみるだけというものですが、結構ドキドキものでした。

容器は、今回のために野焼き粘土4sで製作した、素焼きの鉢形土器。中に3リットルの水を入れコンロにかけます。徐々に火力を強くしていくと、土器の表面からじわりと水が滲みだしてきます。固唾をのんで見守るとキーンキーンという金属音のような音が・・・。先の野焼き実験に際して、破裂したときの記憶がよみがえります。しかしその後は異常なく、無事沸騰に至りました。

安堵しつつも、よくよく観察してみると底からポタリポタリと水が垂れています。さらに詳細に見ると、なんと底面にひび割れが生じ、底から水が漏れているではありませんか!思案のあげく、参考書のとおり米粉を水に混ぜて煮てみることにしました。さっそく博物館資料の石臼を使って米粉をつくり、再実験。これが見事に成功して、3リットルの水が40分ほどで沸騰し、水漏れも収まりました。明後日は、これで縄文鍋(といっても食材は現代風アレンジですが・・・)をつくりますが、味の方はどんなものでしょうか?

2000/07/16
7月8日(土)に行われた博物館こども教室「縄文土器&土偶製作」の模様です。参加者18人の中には、昨年の「釣針づくり」に参加した子どもたちも多く、確かな手応えが感じられます。

今回は2sの粘土で小さな土器2個と土偶1個をつくる予定となっています。講師の小笠原雅行氏(三内丸山遺跡対策室)より、基本的な説明を受け、いよいよ作業開始です。過去に土器づくりを体験したことのある子供たちもいましたが、殆どは粘土に触るのもひさしぶりという様子で、慣れない手つきで、粘土ひもを重ねていきます。

それでもなんとか1個目を完成させ、2個目の製作に入るころには余裕も出てきて、自由な形に仕上げていきます。とくに、土偶製作はそれぞれの個性が遺憾なく発揮され、多様な作品ができあがりました。どうやら小学生は立体的なキャラクター志向で、中学生は芸術的な造形に走る傾向のようです。

昼食をはさんで5時間にもわたる苦闘の結果、ご覧のような作品群が完成しました。ぜひとも皆無事で焼き上がることを祈りつつ、解散となりましたが、以下参加者の感想文を紹介します。

「ぼくは、なわをつかってじょうもんどきをつくったことがたのしかったです。どきをつかってなにかたべたいです。」中田大己くん(武田小学校1年)

「土器を作る前はちょっとドキドキしていたけど、作ってみるとあんがいかんたんだったからすぐできました。昼飯がとってもおいしかったです。どぐうは何を作るか迷ったけど、神様とアンパンマンを作りました。良くできてよかったです。焼いている時にばく発しないといいです。とってもたのしかったです。」葛西俊啓くん(薄市小学校5年)

「土器をさいしょにつくって土をカップじょうにつくってだんだん、へびみたいのをかさねて、かさねてやっと土器っぽくなってやっとでかんせいして、やっとおわったと思ったら次にどぐうをつくって、そしてアダムとイブができたので、ばくはをしないでほしいです。」葛西 大くん(薄市小学校5年)

「土器をつくる前は、どういうのをつくるかまよったけど、つくつてみたらぼくてきには、じょうずにできました。こんどは、どぐうも、なにをつくるかまよいました。そしてぶだわる神様とウォータージェットにのるあくまのうさぎをつくりました。あと、やくときばくはつがしないといいです。」澤田顕完くん(薄市小学校5年)

「"土器作りは難しい"土器作りの体験は、今回が2回目でした。小学校の時も1回作ったことがあったということで、少し自信がありました。そして土器作り当日。作り方の説明をきいて作りはじめました。底を作り、上へ上へとつみあげていきました。ところが10pほどつみ上げたところで、なんと異変が・・・。上ではなく、横に広がっていくのです。これでは土器ではなく、皿になってしまう・・・。かなりあせりました。でも先生の手をかりて、直すことができました。そして2時間ほどかかり、やっとで土器を1つ作ることができました。でも、気に入った作品ではないので、家でまた、もう1つ作っています。土器を焼く日が、とてもとても待ちどおしいです。」鈴木有希子さん(中里中学校3年)

何となく行間から子供たちの奮闘ぶりが伝わってきますよね。

講師の話に耳を傾ける

土偶は案外簡単(焼きは面倒)

見事な壺づくり

5時間の成果

親子で参加のチームも 多彩な土偶たち 無事を祈っています
2000/07/14
梅雨はどこへ行ったのやら、猛暑が続いています。夏休みが待ち遠しいこの時期、博物館では小中学生を対象とした「こども教室」が開催されています。今年のテーマは「ときめきチャレンジ縄文体験」。縄文土器や土偶の製作、野焼き実験、縄文食の調理や試食など、「原始のくらし」体験に主眼を置いたプログラムとなっています。去る7月8日(土)に、1回目の教室「縄文土器&土偶製作」がおこなわれ、16人の参加者は汗をかきかき、力作に取り組んでいましたがその模様は次回お伝えいたします。

今日は、7月20日(水)に予定されている「野焼き&縄文食体験」に先駆けて行われた、野焼き実験の様子についてお伝えします。子供達がせっかく苦労してつくった作品ですが、本番で失敗しては元も子もありません。夏休みの宿題が吹っ飛んでしまったという子供達の恨めしげな様子が脳裏に浮かびます。そうしたシチュエーションを未然に防ぐため、急遽実験が執り行われたという次第です。

土器づくりは、まず市販の「野焼き用粘土」をこねて、形を作っていくことからはじめます。縄文時代前期の円筒式土器をモデルに、ひも状に伸ばした粘土を円筒状に重ねていきますが、これがなかなか難しい。同心円状に重ねているつもりが、不思議不思議だんだん外側に広がっていきます。3、4回やり直しながら、なんとか形を整えた後は、縄文の原体を転がして文様を施していきます。最後は、内側を小石などで磨いて完成、結局1個体つくるのに、3時間ぐらいかかりました。

10日ほど乾燥させ、いよいよ野焼きです。2時間ちかく空焼きして、火床を作ります。この間、土器を火に徐々に近づけながら暖めます。そしていよいよ本焼きです。土器を置き、火勢を強めていきます。その瞬間、信じられないことが・・・。

「パッーン!パッーン!!」という破裂音とともに、投入した土器や土偶が次々と割れていきます。猪形土製品に至っては、粉々に砕け散ってしまいました。7個体投入したうち6個体が破損という散々な結果となりました。後でいろいろと考えてみましたが、火の中に土器を放り込んで急激に温度を上げたのが失敗の原因だったようです。

なんとか修復を施してご覧のようになりましたが、苦労しただけに意気消沈です。果たして本番では大丈夫でしょうか?不安だけが残った実験となりました。