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2001/4/10
このたび、青森営林局森林技術センター(中里町)より、素敵なものを頂きましたので報告いたします。それは、樹齢235年に達するヒバの輪切標本です。

ヒバといえば津軽半島を代表する地場産品で、藩政時代から手厚く保護育成されてきました。防腐効果の高い高級建築資材として知られていますが、詳細については下記をごらんください。

「日本三大美林の一つである青森ひばはヒノキ科アスナロ属の針葉樹で和名をヒノキアスナロといい、日本固有の樹種として、約80%が青森県内に蓄積されています。

天然木として樹齢200年を越すものが多く、現在でも1300万立方メートルもの資源量を誇っています。ほとんどが国有林であり、また成長率1%の天然更新であるため将来的にも毎年約10万立方メートルの天然青森ひばの供給が約束されています。

青森ひばは湿気に強く、腐りにくい性質をもち、シロアリに非常に強い優れた建築材です。これらの防カビ・防腐・防虫効果の源となっているのが青森ヒバ油です。」(以上叶ャ田林業土木(中里町)さんのホームページ(http://www.aomoricolony.com/~narita/)から引用;

今回いただいたヒバは、中里町今泉に生育していたもので、樹高が28メートル、直径が105センチメートルという見事なものです。森林技術センターによると平成11年(1999)に伐採され、年輪から推定される発生年代は明和元年(1764)とのこと。

近世から近現代にかけては、大飢饉や明治維新、多くの戦争が起きるなど、まさに激動の時代でした。博物館にもたらされたヒバは、これらの歴史をくぐり抜けて、それこそ年輪を重ねてきた生証人ということになります。

同ヒバは、秋の企画展「津軽の山しごと(仮題)」で公開する予定です。実際に手を触れて、265年間の風雪に耐えたヒバを讃えてあげてくださればと思います。

2001/4/6
中里町立博物館ホームページで紹介している画像は、フラットベットスキャナやフィルムスキャナで読み込んだものもありますが、ほとんどはデジタルカメラで撮影したものを利用しています。

このデジタルカメラですが、実は、いままでは借り物を使っていました。80万画素クラスの非常に扱いやすいカメラで、これはこれで重宝していたのですが、このほどようやく博物館自前のデジタルカメラが導入されました。

蛔虫断面

といっても、コンパクトクラスですが画素数は310万!一気に銀塩写真の領域に迫りました。どのくらい精度が上がったか確かめるために、一眼レフカメラでもなかなかうまく撮れなかった顕微鏡写真にチャレンジしてみました。

結果は、どれもこれも鮮明で非常に良好。しかもモニターを見ながら顕微鏡の焦点を調節できるので、ピントもあわせやすく、仕上がりも確認できるという良いことづくめ。今更ながら、技術の進歩は偉大だと思います。

思いがけない世界が目の前に広がり、ついついいろいろなものを撮影してみました。今回は10倍で撮影しましたが、20倍、さらに光学ズームを併用すればもっと大きな拡大率を得ることも可能かと思われます。

ちなみに、博物館のパソコン一式も5年目を経て、今夏一括更新となります。やはりカメラ同様劇的な変化を実感できるのでしょうか?

トウモロコシ組織

縄文土器(縄文部分)

土師器(ケズリ部分)

須恵器(タタキ部分)

擦文土器(ハケメ部分)

擦文土器(刻文:ズーム拡大)
2001/4/5
「博物館こども教室」顛末記3-屋内編-

ある日の博物館・・・、「私はみかん!」「私はパインがいい!」「じゃ、ぼくは…鯖だ!」と子供たちが、好みのサイズの缶をゲットしていきます。何のことか、皆さん判りますか?

「津軽の冬しごとと遊び」と題して、わら細工や昔の子供の遊びなど紹介するこども教室を開催したことは以前お伝えしたとおりです。そのなかで私たちは、フルーツや魚の空缶を持ち寄って「カンカン馬」を作りました。上部に2か所穴を空け、紐を通しただけの素朴な遊び道具です。

数人の子供達は展示室に入るや否や、めざとく「カンカン馬」を見つけ、早速缶を足に付けてパカパカ、所狭しとはしゃぎ回っていました。それを側でじっと見つめている子が2〜3人いたので、一緒にやってみない!?と声を掛けると、一人ではできないから…と躊躇していました。でも、少し手を添えてあげたら5分もしないうちに自由に歩けるようになり、嬉しそうに皆の輪の中に入っていきました。

その他にはおはじき・お手玉・こま・凧など色々あります。外では大きなかまくらで、干餅を焼いて子供たちに振舞われ喜ばれています。

また、稲わら細工に挑戦している女の子達は、縄綯いや、菰編みの体験をしています。ある小学校では、地域の高齢者を招いて学習し、縄綯いも教わったそうで、その子は馴れた手つきでスムーズに縄を綯っていました。一人の女の子は「自分の身長よりも長くするんだ!」と、縄綯いに懸命です。自分で綯った縄で縄跳びをはじめた子もいました。

一方では男の子が、わらシビ取りに励んでいました。わらシビとは、わらの下部に着いている不要の葉を指します。昔はこの乾燥したわらシビを布の中に詰めて、敷き布団の下に敷いてシビ布団として活用したものです。

その外に、エンツコ・踏俵・オハチ入れ・草履など、生活に密着したわら細工が数多くあります。現在では、日常殆ど見ることができないので、見学に訪れる方々の目には新鮮に映るようです。博物館にぜひ足を運んで懐かしんでください。

以下子供たちの感想を紹介します。

「缶が楽しかった。長ぐつで缶の上に乗ったりするのがとても楽しかった。」(古川さつき)

「今日縄を綯って、小学校でもやっていたので、少し簡単にできて、こも編みを初めてやってとても楽しかったです。外に出て、かまくらの中で干し餅を食べておいしかったです。」(青山知郁子)

2001/3/25
来年度春の企画展として、「20世紀-自動車の時代-」を開催することは、折に触れてお伝えしているところですが、その目玉となるスバル360が、本日博物館に搬入されました。オーナーは、かつてスバル360クラブを運営していた中里町薄市在住の成田さん。春の企画展の趣旨をご説明申し上げたところ、出展を快諾してくださいました。

独特な形から「てんとう虫」というニックネームをつけられ、高度経済成長期を走り回ったスバル360が誕生(発表)したのは、昭和33年3月3日(1958年)。エンジンは2ストローク並列2気筒の356cc、最高出力は16ps/4500rpm。

現代の車からすれば非力ですが、車重が385kgときわめて軽量なため、最高時速は80km/h以上に達したとされます。航空機製作技術を生かした合理的な設計は、全長3m・全幅1.3m足らずの本当に小さな車体にもかかわらず、4人乗りを可能としています。実際前開きになっているドアを開けて乗ってみると、後輪駆動(RR方式)ゆえか、内部スペースは結構広く感じさせます。

歴史的には、富士重工初の量産型自動車で、一般家庭にマイカー所有という夢を実現させたはじめての車として位置づけられますが、キュートな外観と、小さいながら居住性を極限まで高めた設計の合理性は、現在でも十分に通用すると思います。本日、博物館に搬入されたスバル360は、錆も少なくとても綺麗な状態です。これからピカピカに磨き込まれて、4月28日の開幕には、皆様にお披露目することができると思います。

2001/3/13

「博物館こども教室」顛末記2-屋外編-

今年、最初の「博物館こども教室」。昔の冬遊び体験のために、2日前からかまくら作りを始めました。パルナス南側、図書館の東側に雪を積み上げ、足で踏み固め、スコップで叩いたり、削り取ったり形を整えて行き、最後に水をかけ凍らせます。

次の日、朝から中の雪を削り取っていきますが、水をかけ凍らせた雪は、固くてなかなかスコップが刺さらないのでした。腰を曲げ、頭上の雪を少しずつ丸みを付けて削っていきます。やがて1メートル50センチ以上の人でも楽に立つことができるようになりました。入り口の雪もきれいに片づけて、10人は入れる大きい「かまくら」の完成です。当日が、楽しみ…。

そして翌日、を敷き、餅焼き網火箸三足火鉢には、を入れ火を熾しておきます。干し餅も忘れることができません。踏俵角巻、それにずぐりけん玉も準備します。

9時には、もう子供たちが、やってきます。「保育所に通ってた時に、園長先生が作ってくれたかまくらには入ったことがあるけど、こんなに大きいのははじめて!!」と言う子。「はあい、干し餅焼けたよ。食べて」と渡すと、おそるおそる口に運び、「おいしい!はじめて食べた!!」とおかわりする子。

餅の中が少し生状になっていて、焼くと搗き立ての餅みたいに柔らかく、ふっくらと膨らんでいます。それを二つに分けて「見て、見て!!」と大喜び。かまくらの中は、子供達の元気な声と火鉢の熱でホッカホカです。ずぐりを回すのがはじめての子は、「縄は、どう巻くの?」「ほうり投げるのは、内側から、外側からどっち?」などと色々やってみる。

踏俵を履き、角巻を頭からかぶり、雪やぶを走る女の子。男の子たちも吹溜りや雪やぶをこいで行く。外から帰って来て手に息を吹きかけ「餅、焼けた?」とかじかんだ指を火鉢に近づけ暖める。子供達を迎えに来たお婆ちゃんやお母さん達もかまくらの中に入り、思ったより暖かく気持ちが良い、この様な体験は、最近はなかなかできないなどと話していました。

かまくらの中で日記に「今日は、かまくらの中で干し餅を焼いて食べてとてもおいしかった。」と書く子や、マンガ本を読みゲラゲラ笑う男の子もいました。みんな元気いっぱいで外の寒さなんか忘れています。ふと気がついたときは、外は猛吹雪。こんなにシバれていたなんて…。雪は、まだまだやみそうにありませんでした。(ka)