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2001/5/19
5/18弘前大学の藤沼・関根両先生が、学生を伴って中里町今泉にある母沢遺跡を踏査しました。津軽やまなみラインを蟹田方向へ10分ばかり、母沢にかかる橋を過ぎたあたりで林道へ入ります。車を止めて徒歩10分ばかり、小川を越え斜面を登ると、母沢遺跡到着です。

今泉母沢遺跡は近世の製鉄遺跡で、平坦部や沢面におびただしい量の鉄滓が散布しています。詳細はこちらを見ていただくとして、この日の調査では陶磁器が採集されました。従来も19世紀代の肥前陶磁が採集されていましたが、今回はそれらより若干古そうな瀬戸の擂鉢などが新たに見つかりました。同遺跡の操業年代を推定する大きな材料が手に入ったわけです。

町内には、今泉母沢遺跡のほかに、高根の小金石遺跡や、宮野沢の苗代沢横穴など鉄滓や羽口が採集できる遺跡が多く、いずれも近世の操業が推定されています。

ところで遺跡のすぐそばには、今泉小学校母沢分校跡があります。トタン屋根の校舎と校庭跡が残っています。同分校は、戦後入植した母沢開拓12戸の児童を教育するため昭和27年に開校しました。しかしながら母沢開拓の戸数減少に伴い昭和42年3月に廃校となりました。母沢遺跡ほど古くはありませんが、中里町の近現代史を物語る貴重な史跡といえるでしょう。

関根先生と学生

ネクタイ姿の藤沼先生

母沢分校跡

従来の採集資料 新たな採集資料
2001/5/17
現在開催されている春の企画展「20世紀--自動車の時代」(〜6/10)は、日々展示資料が増えつつあります。同コレクションのほとんどは、中里町在住の山口錬氏が30年来の歳月を費やして収集・製作したものですが、現在も着々と模型製作がなされており、完成と同時に博物館へ納入されるというフォード・システムのような体制が築かれています。

フォード・システムといえば、今日はフォードAタイプ(1930年型)が展示ケースにお目見えしました。先般はブガッティT55ベントレー・ブロアが登場し、今後はフェアレディZトヨタ2000GTが加わる予定です。

A型フォード(手前はT型)

模型資料の増殖が常態化している今日この頃ですが、昨日は実際の車も新たに加わりました。その名も「BUBU503」。企画展当初から実車資料として、スバル360(1967年式)とローバー・ミニ(1995年式)が展示されていましたが、このたびミニにかわって、金木自動車学校所有の三輪自動車BUBU503が登場することになりました。

ゼロハンカーBUBU503は、昭和59年(1984)光岡自動車より発売されました。道路交通法上では、ミニカー(原付四(三)輪車)とは、総排気量(定格出力)0.020リットル(0.25キロワット)を超え、0.050リットル(0.60キロワット)以下の原動機を有する車で、1 輪距が0.50メートルを超える三輪以上の車(車室の有無を問わない)、 2 輪距が0.50メートル以下で、車室を有する四輪以上の車、 3 輪距が0.50メートル以下で、車室を有する三輪の車(屋根付き三輪バイクを除く)が該当するそうです。

発売当初は、原付免許で運転できるミニカーとして普及しましたが、その後の規則改正により、現在は普通自動車として位置づけられ、運転には普通免許が必要となりました。金木自動車学校さんのお話によると、15年ほど前に寄贈され、以降玄関に展示していたとのことです。ダイムラー・スマートなどのスモールカーがもてはやされる昨今、15年も早く未来的なフォルムと省エネルギーを実現したBUBUはもう少し評価されてよいかも知れません。

2001/5/11
好天続きの連休が終わり、一転雨降りの日が続いています。中里町付近では、田んぼにも水が入り、ぼちぼち田植え作業に精を出す人々も見られるようになりました。

この季節になると中里城跡史跡公園も、本番を迎えます。今年は雪が多かったせいか、芝草の伸びも例年に比べるといまひとつで、まだ勢いがありません。ただし、油断はできません。中里城の草木はなかなかの曲者で、一瞬目を離した隙に、膝丈くらいまで伸び放題に綯っていたりします。植栽樹も、かなり大きくなってきており、桜や梅などは、来年あたりそろそろ花見もできそうです。

また、復元竪穴建物の補修も完了しました。柱を結束する縄が、風化のためボロボロになっていて、あたかも廃屋のような態をなしていましたが、御覧のとおりこざっぱりした姿になりました。中里へおいでの際は、ぜひとも足を伸ばしていただきたいと思います。中里城跡史跡公園の案内図(PDF版)はこちらから御覧になることができますのでご利用ください。
2001/5/10
寒さも緩みようやく春めいて来た今日このごろ、今年ほど「春」を待ちわびた冬は何年振りでしょうか?そんな中、博物館を訪れたのが武田小学校332です 

みんな目を輝かせ興味津々顔…社会科で昔の道具を勉強中とあって「あっ!あれ知ってる」「あれ何?」と友達同士こそこそ言い合っているのが聞こえます。ここに来たのが初めてと言う子もいるので、博物館利用時の注意事項を説明した後館内を案内します。

原始時代から近現代まで、時代の流れに沿ってくまなく説明する学芸員サイトウ。途中「原始のアクセサリー装置体験コーナー」では男の子が縄文時代の乙女に変身!!御覧の通りのカワイサ。爆笑の渦の中感想を聞くと「頭が重い」のひと言。

そして人の手となり足となり私達の生活を支えてきた農具体験コーナーへと進みます。石臼、唐箕、水車、足踏み脱穀機子供達にとってはどれもが心惹かれる道具とみえます。

以前は、埃まみれだった道具も今では綺麗に磨き上げられ、眠りから目覚めこうして子供達と触れ合っています。中里町のこのような資源を有効に活かすため日夜努力!

後日参加者全員よりお礼の手紙をいただき、とてもよい思い出になりました。(KO)

2001/5/3
いつのまにか季節は5月へ入ってしまいました。連休に入ってからというもの、全く雨が降らず、農家の方は大変でしょうが、行楽日和が続いています。

そうしたゴールデンウィーク前半の4月30日(月)、中里町総合文化センター「パルナス」駐車場では、「THE NOSTALGIA in Nakasato」が開催されました。同イベントは、中里町立博物館で開催されている春の企画展「20世紀-自動車の時代-(4/28〜6/10)」の協賛事業として行われ、カークラブ「BOXER-SECS(川上和穂会長)」の協力により実現したものです。

当日会場には、東日本一円から駆けつけたスーパーカーやスポーツカー、往年の名車など28台が勢揃いしました。午前11時川上会長のあいさつの後、オーナーによる自車解説がはじまり、力のこもった愛車自慢が繰り広げられました。

午後1時からは、人気車コンテストの結果発表と特別試乗会の抽選が行われ、マツダ・コスモスポーツポルシェ911RSなどが上位に入ったほか、1位はランボルギーニ・カウンタックフェラーリ・テスタロッサが票を分けました。投票者の中から試乗会の抽選が行われ、高競争率をくぐり抜けた人たちは、若干緊張の面もちで助手席に乗り込み、たくさんの人々が見守る中、次々と会場を後にしました。

しばらくして車から降り立った人たちは、興奮で頬が紅潮している人や、あまりの加速感ゆえか青い顔をした人など、さまざまな顔色をしていてちょっと可笑しかったです。本当にうらやましいかぎりです。

ほとんど事前のPRをしていないにもかかわらず、当日は500人余りの家族連れやカップルなどが訪れ、車の前で写真をとったり、オーナーから詳しい話を聞いたり、シートに腰を下ろしてみたり、と憧れの自動車を堪能する一日となりました。既に、来年はどうするんだとの声も多方面から上がっていますが、博物館企画展の一環ということでは限界がありそうですので、違ったかたちで実現するかも(保証なし)。

参加車両

 

オーナによる解説 熱い視線 力が入る愛車自慢
エンジンルームも 予想外の人出 パルナス駐車場
オーナーとの語らい 迫力のあるボディ 往年の国産車も人気