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2004/8/11
8月9日(月)〜10日(火)岩木川こども自然体験学習会(主宰NPO法人岩木山自然学校)の第3回目となる「ヨシで船づくりとカヌー体験」が開催されました。参加者は、西北五地方を中心に弘前・青森・黒石ほか県外から集まった小中学生18人。中里町総合文化センターパルナスに集合した一行は、自然界における水の流れを模したゲームが終わるころにはすっかりうち解け、元気いっぱい岩木川に向かいました。

1日目のメニューは、岩木川の河川敷に自生する芦萱(ヨシ)を材料とした、ヨシ舟づくり。田茂木地区でヨシの刈り取り・出荷を行っている鈴木産業さんの作業場をお借りして、製作を開始します。みんなで力を合わせ、長さ2.5mのヨシを集めて、径15pほどの束にします。それを縦に連結し、棕櫚紐できっちりと縛り上げて1束が完成します。さらにそれらを14束製作しますが、気温30度以上、ほとんど風の入らない作業場は蒸し風呂状態で、1束製作するだけで汗びっしょりとなります。

作り終えた長さ7mの束を、ふたたび束ねていきます。4束づつ結束し、径35pほどの大きな束を3つ製作します。これらをさらに束ねて船体が完成です。残りの2束を、船体の両端にくくりつけて舷側にします。ようやくヨシ舟が完成したころには、すでに夕方になっていました。完成した舟は、船長約7m・幅約1m・重量約100sで5〜6人乗り、当初考えていたより立派なものになりました

2日目は、いよいよ進水です。ユニックで岩木川に降ろされたヨシ舟は、見事に浮かびました。ライフ・ジャケットをまとった子どもたちはこわごわ乗船します。一人、二人・・・、最終的には水が舷側ぎりぎりまで押し寄せましたが、無事11人乗ることに成功しました。子どもたちは、ヨシ舟やカヌーで散策したり、着の身着のまま川に入ったり、日の暮れるまで岩木川を堪能しました。

川で遊ぶことが少なくなった昨今、岩木川がとても身近に感じた一日でした。

水の流れゲーム 材料となるヨシを運ぶ ヨシを束にする
ヨシ束を結束する 船底の完成 試乗風景
耐久テスト 意外とスイスイ 着衣のまま水に飛び込む
2004/7/27
7月27日(火)中里町総合文化センターパルナスにおいて、学校教職員等を対象とした第5回北五教育委員会連絡協議会教職員等研修会が開催され、夏休み中にもかかわらず90名ほどの参加者がありました。阿部育也連絡協議会長のあいさつの後、齋藤淳中里町立博物館学芸員が登壇し、「北五地方の歴史と風土」というテーマの講演を行いました。

講演は、映像を用いながら@北五地方の自然環境A作家達が見た津軽の風土B「北五地方」のはじまりC「潟」の時代−第T発展期−/古十三湖と縄文のムラD 「山」の時代−第U発展期−/蝦夷と防御性集落E 「川」の時代−第V発展期−/岩木川水運と新田開発F今後の北五地方等の内容で進みました。

2004/7/24
7月24日(日)中里町立図書館お話しコーナーにおいて、2回目の「こども読み語り教室」が開催され、こどもや地域の人々約20名が語り部の話などに耳を傾けました。

きょうの語り部は、前半が夏原謙二さん(中里町長泥在住)、後半が前回に引き続き長利佳代子です。夏原さんは中里町立中央公民館長としての勤務する傍ら、生涯学習教室の開催や、子ども向けの体験活動に熱心に取り組んできました。

ボド(膝丈の農作業着)を着込んだ夏原さんは、囲炉裏を囲む子どもたちと会話をしながら、地域に伝承されてきた数々の昔話を話し始めます。独特の語り口で、怖い話・長い話・短い話などユニークな昔話を次々と披露。おしまいを意味する「とっちばれ」という言葉で話が括られるたびに、拍手が巻き起こりました。

長利佳代子さんによる読み聞かせのテーマは、「おばけがいっぱい」。「のっぺらぼう」や「ひとつ目小僧」といった日本の妖怪、外国のお化けの話など、5冊の絵本を紹介しました。

2004/7/11
7月10日(土) 中里町立図書館お話しコーナーにおいて、地域子ども教室開催事業「こども読み語り教室−なかさと語り部の会−(中里町立博物館・図書館共催)」の第1回目が開催され、こどもやお年寄りたち20名が参加しました。

同教室は、実体験に基づく地域の歴史や風習・暮らしぶり、あるいは伝説・民話・童謡等を、地域の語り部たちに披露してもらうことによって、近年急速に失われつつある地域の風土や口承文芸等を継承していこうという趣旨で、毎月第2・4土曜に開催されます。

会場には、かつて昔話継承の舞台となった囲炉裏周りが復元されるとともに、テーマに沿った博物館資料が展示されました。前半は、中里町宮野沢在住の外崎令子さんによる「アダコ」。「アダコ」もしくは「アダ」とは、津軽弁で赤ちゃんを世話する「子守り」を意味し、かつては子どものしごとの一つでした。鳴海助一氏による『津軽のことば』では、本来母親のことをアダといっていたのが、母の代わりをする子守りのことも「アダ」というようになったと推定しています。

語り部外崎さんは、幼少の頃から文芸活動を志し、現在では作家・写真家として活躍しており、地域の文化に精通している方です。軽妙な津軽弁で、往事のアダコの様子を生き生きと描写し、子どもたちにも体験させます。当時の赤ちゃんは、「えんつこ」と呼ばれる藁で編んだ籠に入れられていました。この「えんつこ」を揺すってあやすのですが、子どもにとっては結構な重労働でした。当時の子どもたちは、えんつこの下に小さな木片等を置いて揺すりやすくしたり、縁に腰掛けて読書しながら赤ちゃんをあやしたそうです。

続いては、「おしめ」の交換。布製のおむつを十字にあてがって、カバーを掛けます。帯状の「たな」で背負い、「ふっかけ」「がめ」「ねんねこ」等の上着を羽織ります。子どもたちも、「重い、重い」といいながらも昔のアダコ姿になりました。赤ちゃんをおんぶしながら、先ほど取り外したおしめの洗濯をします。洗濯板で洗って、荒縄に干します。現在の紙おむつとは違って、非常に手間のかかる作業です。

昔の子どもたちは、アダコをしながら、「遊び」もしました。縄跳びや石蹴りなど、背中の赤ちゃんを気遣いながら、必死に重い体を動かします。息を切らしながら、遊びに夢中になっている内に、今度は「乳コ」の時間です。粉ミルクなどあまりない時代ですから、田んぼで作業している母親の元へに向かいます。今回の母親役は、エキストラのお年寄りたち。手慣れた様子で、子どもたちから赤ちゃんを受け取って、授乳しました。本日のメニューは以上でしたが、仕事をしながら勉強や遊びをこなしたかつての子どもたちの様子や、子どもたちを取り巻く環境が、たった半世紀あまりの間に大きく変貌したことに驚かされました。

後半は、長利佳代子(中里)さんによる絵本の読み聞かせです。東京出身の長利さんですが、中里に嫁いできてからは、町内はもとより県内各地で読み聞かせ活動に取り組んできました。今日のテーマは「もうすぐ、なつやすみ!」。蚊の本、虫の顔の絵本、韓国の夏休みの絵本など、夏に因んだ絵本を読み聞かせ、積極的に子どもたちと話し合いながら、にぎやかに進行しました。

1時間半近い教室にもかかわらず、子どもたちは最後まで集中力を維持したまま、積極的に参加してくれました。次回は7月24日。夏原謙二氏(中里町立中央公民館長)による「中里の昔コ」と、長利佳代子さんによる「絵本の読み聞かせ」にご期待ください。

語り部外崎令子さんの登場 えんつこの扱い方体験

おしめの交換

おんぶの様子

おしめの洗濯

子守をしながらの遊び

田植え中の母親の元で授乳 長利佳代子さんによる読み聞かせ 子どもたちと会話をしながら進行