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2011/02/02

田んぼに浮かび上がる謎のソイル・マーク!

中里域西部は、広大な水田地帯として知られます。岩木山を背景とした春の田植え時、そして秋の稲刈り時の美しい景観は、津軽の原風景とでもいうべきものですが、個人的には稲刈り後の田んぼに残された痕跡がずっと気になっていました。その痕跡というのは、おもに田んぼの上辺・底辺に対称的にみられる三角模様です。当初、稲刈りが終わった後、耕耘機で三角形に掘り起こした痕かとも考えましたが、そこは素人の悲しさで、その理由・意味が全く思いつきませんでした。

Googleマップで、中里周辺の航空写真を見てみると、やはりところどころの田んぼに、謎の三角模様が浮かび上がっています。思いあぐねて、先日農家の方に航空写真を片手に尋ねたところ、長年の疑問はたちどころに氷解しました。なかなか解答が見つからなかった理由の一つは、三角模様をとして捉えていたことでした。つまり耕耘機で直線的に掘り起こされた痕跡だと信じて疑わなかったのが敗因です。

正解を明かせば、三角形の痕跡は、ではなく、の集合と捉えるべきでした。三角文様は、コンバインによる稲の刈方・順路によって生じる痕跡だったのです。結論を急ぐと、文様に見えた痕跡はコンバインが方向転換した痕です。コンバインはキャタピラで走行しており、方向転換する際、地面が抉られ掘り起こされます。つまり一見三角文様に見えたのは、コンバインの方向転換痕の集積だったことになります。

もちろん人によって、稲の刈方は異なります。例えば左下(赤)から刈り始めて、往復する場合、田んぼの上辺と底辺に直線的な方向転換の痕跡が残されることになります(イ)。一方、同じく左下(赤)から刈り始め、時計回りに渦巻き状に刈る方法もあるそうです(ロ)。もうおわかりでしょうが、(ロ)の刈方をした場合、対称的な三角文様が残されることになります。

ということで、農家の方々にとっては自明のことですが、散々悩まされた三角文様の謎は無事解決しました。